第82号:執事の涙。
このお便りは、25388 名のお嬢様、旦那様に宛ててお送りいたしました。
お嬢様、旦那様、しばらくご報告が滞りまして、誠に申し訳ございません。
執事の館・準備委員会の広報係、松原でございます。
「名古屋の仮住まい」は、日中の温かい日差しに眩しい夏の訪れを予感するいっぽうで、
深夜、足元から冷え込む冬の寒さに、少しばかり懐かしさを感じる今日この頃にございます。
いまお住まいのそちらは如何でございましょうか。
寒暖の差に、お疲れはございませんか。
開館を間近に控えた「名古屋の仮住まい」は、毎日のように新たな什器、備品が搬入されております。
長い船旅を終えて、神奈川県から名古屋まで陸送されたシャンデリアは無事取付を完了し、
館内の照明がほぼ全て揃いました。いずれも、明るさを調整する機能を備えておりますから、
外の天気や明るさに応じて、少しずつ調整をする運びとなっております。
また、国内メーカーに特注していたカーテン類も揃いました。これまで、素人目で見ても
ガランとしていた「白の部屋」に、品の良いファブリックが吊るされたことによって、
空間の一体感、質感が向上したのではないかと存じます。
しかし実際に取付けてみると、バランスやボリュームが合わないところが浮き彫りになるものです。
例えばテーブルを照らす灯りは照度が不足しているかもしれませんし、ソファは重厚感に乏しい。
予め設定された予算と工期を天秤にかけながら、お嬢様、旦那様をお迎え出来る環境作りに専念致します。
物足りないところ、不足しているところがございましたら、私たちに遠慮なく仰ってください。
またお気に召したポイントがあれば、ぜひとも教えて頂きとうございます。
このことについては、のちほど詳しくご説明を致します。
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過日、お手紙を通じてご案内した開館予定日の5月18日について、いまのところ変更はなく、
給仕係、介添係、家事係のそれぞれが、持ち場でのトレーニングに専念しております。
5月に入ってからは毎日のように小さなリハーサルを繰り返し、ご協力頂いた方から良い面、
悪い面のいずれについても、忌憚ないご意見を頂戴しております。少しずつではございますが、
出来るところから取り入れ、改善を重ねておりますことをご報告致します。
そのうち最も大きな変更点は、主を最初にお迎えする「白の部屋」の卓数および席数でございます。
もともと設計段階の「白の部屋」は、8卓(最大20名)のご利用を想定しておりましたけれども、
「名古屋の仮住まい」に納品されたテーブルは、大皿を置いてしまうとティーカップ、
ポットともに遠いところに置かざるを得ない面積…。
一般的な飲食店ならば、それくらいのサイズが普通とはいえ、ここは「名古屋の仮住まい」。
お嬢様、旦那様にゆっくりお寛ぎ頂くために充分な広さとは、胸を張って申せません…。
同時に、現在の従業員の給仕スキルを鑑みると、沢山のテーブルに対応することは難しいでしょう。
つきましては、開館から暫くの間は1〜2名席のみ、4卓(最大8名)のお席を用意致します。
テーブルの広さは、2個を繋げて運用することでカバーしたいと思います。また今後、
1日あたり何組をお迎えするかについては、本日のリハーサルの結果を踏まえて結論を出します。
とはいえ、最大でも1日あたり40名のご帰宅となるのではないかと…。
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ご帰宅の予告はお嬢様、旦那様のご都合に合わせ、数週間前から承るべきものですが、
給仕スキルの変動や持ち場のローテーション、食材の仕入れ、建物や設備の手直しなども考慮し、
暫くの期間は不定休、かつ1週間前からの予告を承る所存です。何卒、ご了承くださいませ。
また過去にもお伝えした通り、ご帰宅の予告を頂ける権利は手帳を作られた順番に公開して参ります。
これが「主の手帳」のID順でないのは、最初から3,000番台半ばまでの記帳日とIDが逆転しており、
単純に昇順でご案内をできないという事情があることについて、ご理解を頂けますと幸いです。
大変お待たせをしております最初の予告枠は【2014年5月13日(火)21時10分】に公開致します。
今回の予告は、【2013年3月2日】までに記帳をくださった、計1,660名の主から承る所存です。
過去、執事の館・準備委員会のホームページに記載があった通り、初期に記帳を頂いた主に、
「名古屋の仮住まい」の仕上がりや給仕の品質について、お確かめ頂きたいと考えます。
ひとまず開館して暫くのあいだ、1回のご帰宅は1時間30分。2名用のテーブルを4卓ご用意致します。
ご家族やご友人をお誘いになる場合は「仮の手帳」にご記入いただくことで丁重にお迎え致しますし、
お一人でのご帰宅も歓迎致します。ただし空席を作ってお迎えするための賃金調整にご理解ください。
お給金は4,000円。もし、給仕の品質にご納得を頂けなかった場合、お支払い頂く必要はありません。
(お給金を頂けなかった場合に「主の手帳」が抹消されることはありませんから、ご安心ください。)
ここでご帰宅にあたって、予めご理解頂きたいことがございます。
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現在お作りしております「名古屋の仮住まい」は、仮住まいと銘打ちながら相応の費用が掛けられ、
食器やカトラリー、調理環境などの設備も、それなりの品質のものが導入されております。
部屋によってちらほら揃っていない部分があるとはいえ、ハード面はほぼ整備されました。
問題は、給仕の品質でございます。
春先から開館までの2ヶ月半、「名古屋の仮住まい」の従業員はお嬢様、旦那様をお迎えするトレーニングを重ねて参りました。
執事の館・準備委員会の理念にはじまり、紅茶やお菓子の知識、サービスの技術習得は勿論のこと、
丁寧な言葉遣いから、柔軟なコミュニケーションの習得など、多岐にわたる訓練を行なっております。
しかしながら、現時点で「自信を持って主をお迎えできる」とは断言出来ない状況にございます。
これは私たち執事の館・準備委員会だけでなく、5月に入ってから「名古屋の仮住まい」で行なわれた
小規模なリハーサルにご参加いただいた皆様からも、率直かつ有難いご意見を頂戴しております。
90分の給仕を終えたあと、2時間ほど掛けて準備委員会のメンバーがヒアリングを行なうと、
共通して指摘されるのは、各位の経験不足に起因する「自信の無さ」でございました。
この状況で敢えて開館をするのか、それとも延期を決断するのか。
お嬢様、旦那様はどうお感じになるでしょう。
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執事の館・準備委員会の基本的な理念に立ち返って考えると、「名古屋の仮住まい」とは、
私たちがお嬢様、旦那様と共に作り上げる、中核サービスのひとつでございます。
これまで数十にわたるお手紙で経過の報告を、TwitterやFacebookで知識や意見の交換を、
つど行なってきたからこそ、もう間もなく「名古屋の仮住まい」が出来上がる次第であります。
しかしながら「名古屋の仮住まい」は、ある程度、内外装が形になってきた段階で、
広報ポリシーに則って情報発信を制限して参りました。その結果、これまで自然と実現できていた
「給仕する側」と「給仕される側」のコミュニケーションが希薄になったと言えましょう。
我々は小さなリハーサルのあと給仕の感想をヒアリング、出来ることからすぐに取り入れる経緯にこそ、
執事の館・準備委員会の本質、「名古屋の仮住まい」の存在意義、手応えを感じております。
ご帰宅の感想を「主の手帳」を通じてお寄せ頂くことは簡単ですが、それではまだ不十分。
そこでお嬢様、旦那様に折り入ってお願いがございます。
もしご帰宅が実現した場合、ご出発(退館)のあと勝手口から別室にご案内しますので、
執事の館・準備委員会のメンバーに対して直接、ご帰宅の感想をお伝え頂きたいのです。
従業員の所作や言葉遣いに対するご指摘、料理やお菓子についての感想、内装やBGMの印象など、
お感じになったことを率直にお聞かせ頂ければ幸いです。何卒、よろしくお願い致します。
このとき時間にして10〜20分ほど、頂けますでしょうか。
より良いお屋敷作りのために、お力添えくださいますよう、重ねてお願い申し上げます。
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さて、開館を間近に控えて、「主の手帳」を担う手帳係の作業も、佳境に差し掛かっております。
間もなく、新たに「給仕においてサポートして欲しい事柄」の欄が追加されるとのことです。
これはハンディキャップをお持ちの主が、給仕係・介添係にどのようは配慮を望むのかという設問。
私たちとしても手探りで設問を考え、つど、どのようなサポートをすべきか考えて行動致しますので、
ご満足頂けるかどうか定かではありませんけれども、適宜、ご利用頂きたいと思います。
もし設問に不足や不適切な表現がございましたら、ご指摘頂ければ幸いです。
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最後に「愛知県西尾市のバウムクーヘン」は、無事5月2日発送分、5月9日発送分を完了しました。
お召し上がりになった皆様のお声は、Twitterのハッシュタグ「 #愛知県西尾市のバウムクーヘン 」
を手繰ればご覧になれます。お申し付けの参考になりますでしょうか。 https://bit.ly/1leKiv8
ゴールデンウィーク期間中、お菓子作りの繁忙期を考慮した数量となっておりましたが、
来週16日発送分より、500箱ずつの出荷を致します。また【5月17日(土)21時10分】より、
ふたたび「愛知県西尾市のバウムクーヘン」6月発送分の申し付けを賜ります。
2014/06/06(金)発送分 300箱 https://www.butlers-house.net/product?product_id=59
2014/06/13(金)発送分 300箱 https://www.butlers-house.net/product?product_id=60
2014/06/20(金)発送分 300箱 https://www.butlers-house.net/product?product_id=61
2014/06/27(金)発送分 300箱 https://www.butlers-house.net/product?product_id=62
工場長の黒川氏によると、今年はバターなど乳製品の出荷制限がメーカーより予告されており、
例年通りの仕入れができるか定かではないとのことであります。特に発酵バターは生産量が乏しく、
場合によっては黄色い「愛知県小牧市のバウムクーヘン」の生産に支障をきたす恐れがあるとか…。
影響がなければ良いのですが…。
また「愛知県碧南市のソーセージ」は、新たな一品の開発を進める一方で、新たに
執事の館・準備委員会による「愛知県碧南市のポークジャーキー」の試作に取組んでおります。
これについても追って報告をさせて頂く所存です。
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去る5月3日(土)、執事の館・準備委員会の給仕係と介添係、家事係は、初めて90分を通して、
給仕リハーサルに取組みました。その結果は、お世辞にも褒められる内容ではございませんでしたが、
いつの日かお嬢様、旦那様にお仕えする第一歩として充分な手応えを得ております。
その後、何度かリハーサルの機会に恵まれるなか、過去に何度も叱責を受けていた執事について、
ある方から「彼の給仕は悪くない。とても印象が良かった。」というお声を頂戴しました。
淡々とレポートを読み上げられるなか、堪えきれず嗚咽を漏らす執事の姿に、
従業員全員、涙を堪えることができませんでした。
私たちは、まだ不完全であります。経験も浅く、頼りない場面もあるかと存じます。
小さな成功体験を積み重ねて、僅かずつ自信を持ち、給仕の質を高めるしか道はございません。
これから先、お嬢様、旦那様から、ひとつひとつのことを教わりながら、
少しでもご納得、ご満足頂ける給仕を目指す覚悟をしております。
至らぬことも多々ございますが、今後とも末永くお仕えさせてください。
今宵は冷えるかもしれませんから、なにか羽織れるものをお持ちになりますよう。
名古屋市中区の「コメダ珈琲店」伏見店にて。
このお手紙は、執事の館・準備委員会の広報係、松原がお送りしました。
準備委員会のあゆみは「過去のお便り(バックナンバー)」から、ご覧くださいませ。
https://www.butlers-house.net/blog/entries
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