第68号:納まりと、壁紙と、墨出しと。
このお便りは、25656 名のお嬢様、旦那様に宛ててお送りいたしました。
お嬢様、旦那様、冷え込んだ一週間が過ぎ、暦通りに大気が温むのが待ち遠しいこの頃、
お加減はいかがでしょうか。執事の館・準備委員会の橘でございます。
私からは「名古屋の仮住まい」の設えについて、お話を…いま、お食事中でしたか?
今日も長文になりますので、お時間のあるときにでもお目通しくださいませ。
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Twitterでもご報告差し上げましたとおり、作業の不手際によって初日から止まっていた
「名古屋の仮住まい」の現場工事は、本日24日(月)から再開いたしました。
私の手元では工事が滞りなく進むよう、細かい「納まり」の検討をしております。
「納まり」というのは、例えば「床と壁」や「壁と天井」など
それぞれ異なる要素が出会う部分を、実際にどう仕上げるのかという決めごとです。
建物を長い期間使い続けるためには、ただ素材どうしをくっつけるだけではいけません。
どういう材料を、どういうふうに使うのか、寸法を決め、組み立てる順番を指定し、
失敗するときはこちら側に失敗しなさい、といった逃げ道も指定しております。
近ごろは建築材料の工業化が進み、誰でも組める簡単な工事が増えたと言われております。
そういう背景もあって、施工業者が基本的な「納まり」を理解していない場合も考慮し、
注意深く、詳しくやりとりを進めている最中にございます。
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先月松原のTwitterにて、意匠係の高岳が選んだ内装サンプルの画像をご報告しました。
これに寄せられた様々なご意見、わたくし自身の考えもふまえた上で、
あらためて本日、わたくし橘が選定した内装素材をご覧頂けますでしょうか。
東海地方でも知る人ぞ知る、一流の空間デザイナー高岳の選定内容もふまえつつ、
「名古屋の仮住まい」はあくまで「住まい」であるという観点から、
より抑制された、品位ある意匠を目指したものです。
やや華やかさに欠けるような印象をお感じになるかもしれませんが
私としては、空間に華を添えるのはお嬢様、旦那様ご自身や、そのお召し物であり、
「名古屋の仮住まい」の空間は、あくまでその引き立て役であるべきと考えております。
どうぞお気軽に、忌憚のないご意見をお寄せくださいませ。
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明日から一週間の工程は以下のように予定されております。
・解体(引き続き天井の解体を進めます)
・墨出し(これから作る空間の下描きをします)
・養生(建物を傷つけないように保護します)
・天井アンカー打設(天井の下地を組むための下準備です)
・天井LGS設置(天井の下地を組みます)
・設備系統墨出し(設備のための下描きをします)
・木製造作製作(工場で製作可能なものを現場と平行して制作します)
現場の様子は、Twitterの私のアカウント( https://twitter.com/butlers_house_a )から、
つど報告させていただく所存。温かく見守っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
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さて、本日も私の文庫の中からいくつか
お嬢様、旦那様に読んでいただきたいものをご紹介します。
その15
『西の魔女が死んだ』文庫本 266ページ 梨木 香歩(著)[新潮社]
読書初心者向けです。映画化されていましたね。人が暮らす、あるいは
生活するということはどういうことか、日々の営みを自分の手でしっかりと行うことが、
どんなに素晴らしい娯楽であるかということを感じさせてくれます。
人物の描写も繊細でとてもやさしい物語です。主人公の後日談を描いた1編の作品が
併録されています。私は実はこの後日談の方がお気に入りです。
その16
『死者の奢り・飼育』文庫本 270ページ 大江 健三郎(著)[新潮社]
ノーベル文学賞受賞者、大江健三郎のデビュー作「死者の奢り」を含む6編の小説。
ややグロテスクな描写が含まれるので、お読みになる際はご留意ください。
また、読後感もあまりよくないでしょう。ただ、大江作品には率直で飾り気のない視点で
その時代の痛いところに踏み込む、独特のリズムというか語り口が存在します。
いまの時代に読んでも何も得られないかもしれませんが、彼の作品以外からは感じ得ない
なにかを感じることができるでしょう。
その17
『手塚治虫エロス1000ページ(上)』コミック 502ページ 手塚 治虫(著)手塚 るみ子(監修)[INFASパブリケーションズ]
『手塚治虫エロス1000ページ(下)』コミック 502ページ 手塚 治虫(著)手塚 るみ子(監修)[INFASパブリケーションズ]
手塚治虫作品の中から、裸体やエロチシズムを扱った部分だけを前後の脈絡もなく抜き出して
1000ページ並べた、ただそれだけの本です。もともとの手塚作品がそうであるように、
とくに性欲を刺激するような内容にはなっていません。
ページ毎に絵の雰囲気やコマ割りが違って眺めているだけでも面白いです。
この本に何の意味があるのかと問われても何とも応えようがないのですが、
ファンとして思わず購入してしまいました。
手塚作品をたくさん読んでいる方ほど楽しめるかと思います。
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さきほど広報/渉外係の松原より、お嬢様への伝言を頼まれましたので下記にお伝えします。
22日(土)、23日(日)と連続して承った「愛知県小牧市のバウムクーヘン」は、
合計1,700個の申し付けを満了。さらに工場長の黒川氏と協議のうえ、
下記2日程に増産を決定したそうです。
2014年3月 7日(金曜日)発送分 : 約150箱
http://www.butlers-house.net/product?product_id=12
2014年3月14日(金曜日)発送分 : 約150箱
http://www.butlers-house.net/product?product_id=13
「愛知県小牧市のバウムクーヘン」の素材となる名古屋コーチンの卵が、なかなか確保できず、
ご案内が遅くなったことを、何とお詫びすればよいのか…と申しておりました。
ただし今回は、【これまでバウムクーヘンの申し付けを頂いていないお嬢様と旦那様】に限定し、
すでにご賞味頂いている主には、ご辛抱頂きたいとのことです。何卒ご了承ください。
申し付けは、【2月26日(水)21時10分】から。前回より5分早まりましたので、
くれぐれもお間違えのないよう、お願い致します。
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視察旅行から帰ってきてから、ずっと鼻が詰まり気味でして、
どうやら日本では、花粉が飛ぶ季節が近付いているようですね…。
お嬢様、旦那様は花粉症でお困りではございませんか?
本格的に花粉が舞う前に、マスクと目薬を調達しておきましょうか。
仮住まいの給気口にも、花粉を防ぐフィルターを考えた方がよいかもしれませんね…。
季節の変わり目でございます。どうぞご自愛くださいませ。
アトリエに出来た、壁紙やカーペットのサンプルの谷間より。
このメールは、執事の館・準備委員会よりお送り致しました。
準備委員会のあゆみは「過去のお便り(バックナンバー)」から、ご覧くださいませ。
http://www.butlers-house.net/blog/entries
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