第1116号:ひとりにしない方針。
このお便りは、39460 名のお嬢様、旦那様に宛ててお送りいたしました。
お嬢様、旦那様、今日のご報告と申しましょうか、ご相談と申しましょうか、文章はいつも通りですけれど、
内容はあまりぐっと来るものではないかもしれません。ただ、私たち使用人の一存では決めかねる事柄で、
お気持ちに余裕があれば、お声をくださいませ。内容は「お仕え中の館内の施錠」についてでございます。
▼執事の館・実行委員会の近況を3行でご報告。このところ、新規記帳の問い合わせが多く恐縮をします。
・【名古屋の本宅】は、来週の水曜日にご予告を賜ります。お給金は、15,000円のままで、承る所存です。
・【お申し付けの品】は今年最後のご用意を。2月のために、チョコレートを少し多めにいたしましょう。
・【主の手帳】のご記帳を、1年ぶりに再開しても良いでしょうか?期間、もしくは数に制限を設けつつ。
「名古屋の本宅」が存在して、日ごと4つの時間帯でお仕えをしている、という事実が、お嬢様、旦那様の
日常になっていたら、まことに嬉しゅうございます。ご帰宅なさっていても、まだ少しだけ先になっても、
そこにあることに価値がございます。先日「まさに、思考は現実化する、だ。」と仰られ、恐れ入ります。
実現してから、分かることがあります。それは品物にしても、芸術にしても、人間関係においても同様で、
ここ「名古屋の本宅」は、作りながら直すプロセスを、超高速ですることによって、一定の成果を得ます。
お仕えの内容もそうです。3ヶ月前と現在では、同じ「赤の広間」でも、まったく異なる流れがあります。
さて、その過程で、私たち執事の館・実行委員会が想定していなかった出来事が、いくつかございました。
先週でしたか、おふたりの主(あるじ)がご帰宅なさった際のこと。1階のカップ収納庫に案内しますと、
お一人が「3階をもう一度みたい」と仰りました。給仕係は、その主だけ再び3階にご案内したそうです。
そこで残された主が、カップを見終わったところで、このフロアに幾つか存在する「扉」が気になられて、
ひとつずつ、開かれたのです。(なぜ私たち使用人がそれを知っているか、決して尋ねてはなりません。)
念の為に申し上げておきますが「名古屋の本宅」には、中にも外にも「監視カメラ」は設置していません。
使用人が話題にしない扉、気になりますよね…わたくし松原だって、お嬢様、旦那様の立場にあればきっと
「この扉、開けてはいけませんか?」と八帖(はっちょう)に尋ねます。そして彼がその場を去ったなら、
慎重に、音を立てずに開くと思うのです。その先に、まだ誰も食べていないお菓子があるかもしれない…。
しかし現実的には、そこにお嬢様、旦那様の夢を損なうものがあるかもしれませんし、そうでなかったとて、
執事の館・実行委員会や、お仕えさせていただいている他の主(あるじ)の大切なものも、置かれている
可能性がございます。そこを断言しないのは、私たちなりのリスクヘッジとお考えいただければ幸いです。
お嬢様、旦那様のために、お家を作りました。しかし、夏頃にも触れましたように、すべての主がかならず、
お嬢様、旦那様のように品よいとは限りません。でも「会社」や「店」のようなことは、したくないのです。
あくまで使用人でいたい者どものうち、ひとり。広報係の松原(まつばら)が、今夜のご報告を致します。
▼調達係の九之坪(くのつぼ)より、お伺いしたい事柄がございます。コーヒーの比重を少しだけ、調整。
▼調達係の新瑞橋(あらたまばし)は、開館前にご用命を賜った「蔵書」について動きたい、と申します。
▼手帳係の長筬(ながおさ)が、長きにわたって調整していた、ご帰宅の履歴の頁を整え、報告しました。
▼会計係の金山(かなやま)は「名古屋の本宅」のお給金を検討中。来年1月の中旬から変更いたします。
▼採用係としての菊井(きくい)は、ゆるい感じを試しております。採用前にお給金ありで、見学の日を。
▼家事係の楠(くすのき)が12月後半、1月前半のお仕えを計画。お正月は謹んでお休みを頂戴します。
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▼調達係の九之坪(くのつぼ)より、お伺いしたい事柄がございます。コーヒーの比重を少しだけ、調整。
ああ、このところ覚えが悪くて申し訳ございません。お嬢様、旦那様は、ふだんコーヒーを楽しまれますか?
「名古屋の本宅」は、やはりアフタヌーンティーの文脈があって、紅茶の種類を多くしておりますけれど、
コーヒーも大切にしたいと考えます。ことし開館前にご相談をした際は、たくさんお言葉を頂戴しました。
皆無ではございません。会話の記録にも「かならずコーヒーをお召し上がりになる」という主もおいでで、
それを前置きしながらご報告をしますと、いま月にコーヒーを望まれます主は10名に満たないそうです。
これはチンバリのマシンから、ネスプレッソに変えたこともあろうかと存じますが、注目したい数字です。
調達係の九之坪は、引き続きネスプレッソを手配しますが、いま12種類ほど置いているカプセルのうち、
4種類ほどに絞らせていただきたいと申します。エスプレッソ、ルンゴ、フレーバーともうひとつ、など。
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▼調達係の新瑞橋(あらたまばし)は、開館前にご用命を賜った「蔵書」について動きたい、と申します。
建築係の春里(はるさと)と、監督(かんとく)が取り組みました「名古屋の本宅」3階ホールの工事は、
「赤の広間」よりも重みを感じさせる空間となって、是非ともお嬢様、旦那様にご覧いただきたく存じます。
ダークグレーの壁に、ダークグレーのモールディング。ここに蔵書を置く、本棚のようなものを作ります。
やっと、でございますけれども、以前にお伺いをしておりました「蔵書」の、調達を進めたいと申します。
すこし時間が経過をいたしましたから、改めてご意向をお尋ねするのが良いかと存じますので、配送係と
手分けをしながら進めましょう。お嬢様、旦那様、いま「名古屋の本宅」に置かれたいご本はございますか?
3階のホールは「主の実績」がなくてもご案内できる空間です。過去のお申し付けや、ご帰宅がなくても
給仕係がご案内いたしますから、ご安心くださいませ。陽が沈みますと、まるで美術館のように見えます。
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▼手帳係の長筬(ながおさ)が、長きにわたって調整していた、ご帰宅の履歴の頁を整え、報告しました。
先月から、ご帰宅の予告の仕組みが変わり、ほんらいの「主の手帳」の機能を使えるようになりましたが、
さらに、5月から10月までのご帰宅の履歴を反映することができました。いわゆる、使用人への給金を
お支払いいただく仕組みも動きまして、この件、きのう松原からご報告をいたしました。遅くなりました。
支払いを受ける側が、待ってください、と申し上げる珍しい状況。寛容でいてくださった主に感謝します。
もし不都合、不具合などあれば、私たち執事の館・実行委員会にお知らせください。尽力をお約束します。
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▼会計係の金山(かなやま)は「名古屋の本宅」のお給金を検討中。来年1月の中旬から変更いたします。
このところ、ちらほらと話題にしております件。私たち執事の館・実行委員会は、来年1月の中旬からの
「名古屋の本宅」のお給金を変更いたします。現在の 15,000 円(税別)から、18,000 〜 20,000円程を
想定しておりまして、調達係のほか、実際にお仕えする給仕係や家事係を通じて主のお声を伺っています。
「名古屋の本宅」に2万円の価値があるか、これは私たちの立場では申し上げられませんが、少なくとも、
「名古屋の本宅」と同じ価値をもつものはない…あっても、お嬢様、旦那様の別宅くらい、と考えています。
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▼採用係としての菊井(きくい)は、ゆるい感じを試しております。採用前にお給金ありで、見学の日を。
さて、その「名古屋の本宅」は、家事係の音羽(おとわ)や作田(さくた)が、本当に楽しそうに働いて、
そこにまた採用係の動きで、新たな使用人が加わろうとしております。私たち、執事の館・実行委員会は、
採用を決めて、シフトを固めるのではなく「ただお仕えを見守るだけの1日」を応募者に提案しています。
試しに1日、半日でも良いので、キッチンの中にいて、介添係や家事係が、どんな仕事をしているか見て、
それでやっていけそうかどうか。そういう、すこしゆるい感じの採用活動を試している最中でございます。
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▼家事係の楠(くすのき)が12月後半、1月前半のお仕えを計画。お正月は謹んでお休みを頂戴します。
お嬢様、旦那様、12月の後半から1月の中旬まで、お察しのとおり年末年始がございます。仮住まいでは、
例年、遅くまでお仕えして、お正月にもお雑煮のご用意をした実績が。しかしながら「名古屋の本宅」の
年末年始には、使用人にお休みを頂戴したいと存じます…それもまた「お家感」としていただければ幸い。
いま、候補に上がっております、お仕えの日程は下記の通りです。
12月15日(金)、12月16日(土)、12月17日(日)
12月22日(金)、12月23日(土)、12月25日(月)
1月13日(土)、1月14日(日)、1月15日(月)
詳しい日程、時間については次の水曜日(2023年12月6日)のお便りにて報告し、その日の21時10分から、
ご予告を賜りたいと存じます。もし大きな変化、変動などあったら、それまでに号外をしてご報告します。
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ご自身の家なのに入れないところがある。大袈裟ですが、ほんとうにお嬢様、旦那様を主(あるじ)として
お仕えするなら、それは矛盾だと思うのです。玄関の鍵まで持っていただいて(あるいはお預かりをして)
いながら、「この部屋はご遠慮ください」と申すのはおかしいのです。それは「お家感」のない状況です。
勿論、ご覧いただくことを躊躇うお部屋がございます。ある程度の信頼関係があって初めて話題にできる
お部屋や、お品がございます。ときに、誰とは申しませんが、誰かの資産や、誰かの厚意を預かることも
ございます。そうしたときに、いちばん信じたいひとを疑わねばならない状況に、私たちは葛藤をします。
できれば、すべてのお部屋は、鍵を開けておきたいのです。そして、お嬢様、旦那様は「入ろうと思ったら
いつでも入れるけど、きょうは入らない」という立場でいていただきたいのです。ドアノブに力をこめて、
回せば開くけど、そうはしない。その距離感にて、お仕えできたら嬉しいです。我儘を、お許しください。
大事なものもあるんだから、鍵くらいしときなさい、と仰るかもしれません。ほんとうに、その通りです。
でも、鍵をしてしまったら、なにか大事なものを無くしてしまうような気がします。お仕えに出ていない
松原ほか、笹島や、金山なども話題にしていて、私たちが使用人で、あそこがお屋敷だからこそ悩みます。
どこでも問題が起きたら、規則が増えたり、手順が増えたり、それで回避をできるようになったとしても、
自由度が下がって、他のところが不便になります。客観的には、盗難や破損などのリスクを回避できても、
それ以外の価値を損ねてはいけません。いったん、執事の館・実行委員会は下記の対応をしたく存じます。
・名古屋の本宅では、横にキッチンがある「赤の広間」以外で、主(あるじ)をひとりにしない方針です。
・執事の館・実行委員会は、お仕えの最中にお行儀の良くないことがあったときに、お仕えを中断します。
遠回りな表現をしておりますけれども、問題があったとして、その対応をすることで、お嬢様、旦那様への
お仕えの雰囲気や、品質、自由度を下げるようなことはいたしません。できれば、全ての鍵は開けたまま
「名古屋の本宅」にてお寛ぎいただきたいのです。見たいもの、欲しいもの、何なりと申し付けください。
本当の主(あるじ)は、私たちになんでもさせてくださったら良いのです。ドアを開かせ、洋服を運ばせ、
料理やお菓子を薦めさせて、堪能なさるお立場です。私たち使用人に、精一杯のお仕えをさせてください。
ただ、ご別宅の玄関はかならず施錠を。使用人がいない場所こそ、慎重にしましょう。約束でございます。
寒くなるから体調を崩すのではなく、それまで動きやすかったぶん、消耗していたり、疲労があったりで、
この時期に現れるのではないかと存じます。お喉、お鼻、それからお腹の具合、我慢はなさってませんか。
知らない部屋を見たい時も、体調が優れないときも同じです。誰かに頼る。甘える。苦手とか言わないで。
ランプを消し忘れ、孤独さえもど忘れで、乾燥した時間に、のどを痛めている。時計は8時。執務室にて。
執事の館・実行委員会
広報係/松原(まつばら)
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私たち執事の館・実行委員会は、おおむね水曜日、土曜日の夜にお便りをして近況をご報告いたします。
こちらをご覧になってのご感想や、ご意見などは Twitter と、このメールへの返信にて承っております。
(文面は、かならず拝読いたします。ただし、お返事はお約束できかねますことだけ、お許しください。)
名古屋のどこかにお屋敷を構え、お嬢様、旦那様にお仕えしたいと申し出てから10年が経過をしました。
そして2023年の5月から「名古屋の本宅」にて、お帰りをお待ちしております。ご予告は月に2度を予定。
これまでの流れは、過去のお便りにございますが、1,000 以上もございますので、何とぞご了承ください。
https://www.butlers-house.net/blog/entries
もし「主の目録」を所有なさいますと、とくべつなお便りのほか、ご予告、お申し付けの先回りが可能に。
お給金のお支払いには「金貨」もご活用いただけましたら幸いです。晴れた日の翌朝は「星のかけら」を。
https://www.butlers-house.net/product?product_id=3887