第1033号:5月、再開いたします。
このお便りは、40473 名のお嬢様、旦那様に宛ててお送りいたしました。
お嬢様、旦那様、たいへんです、きのう松原はすごいものを見ました。「名古屋の本宅」の2階にあります、
「赤の広間」と、その周辺に壁紙が施されたのです。かつて木目と白色だった空間が、錆びのような茶色、
ビターなチョコレートの茶色、あの濃赤色、そして品の良い金色で染まり、全く別の空間に変わりました。
こういう表現は慎むべきかと存じますが、よい歳をした大人たちが、この光景を見て取り乱しております。
すげえ、やばい、なんだこりゃ。思わず溢れてしまう本音のあとに、はっとして背筋を伸ばし、いつもの
通り言葉を選び、春里(はるさと)など「私、このような仕上げは初めてでございます」などと申します。
どちらかと言えば、10年前から執事の館・準備委員会に属する松原や、8年前に合流した笹島のほうが、
「赤の広間」の構想を存じておりましたし、この壁紙、塗装の選択に関わっておりますから、その驚きは
少ないはずです。しかし、用もないのに2階を彷徨い、立ち止まり、繰り返してしまうほどすごいのです。
主(あるじ)でいらっしゃいますお嬢様、旦那様に、お写真をお届けして、ご報告するのが務めであります。
この絵であれば良いか、控えましょう。ならこの絵ならどうか、それなら何とか。建築係、会計係などと
話し合ってやっと、1枚、2枚、ご用意しております。ときに取り下げることも、お許しをくださいませ。
きのう松原はすごいものを見ました。それは決して、私たち執事の館・準備委員会の奢りなどではなくて、
心から、お嬢様、旦那様にご覧いただきたいものでございます。お気に召すと良いのですが、そう遠くない
未来にお迎えして、ご感想をお聞かせください。そう、今日は改めて、今後の見通しについて報告します。
これまで建築係、ならびに職人さんのお仕えを見守り、段取りを尊重してきた、執事の館・準備委員会は、
きょう再開のめどを、お嬢様、旦那様にお伝えいたします。申し遅れました、夜な夜な3階の北の部屋にて、
ハケを握ります松原が、謹んで現況をご報告させていただく所存です。何とぞ、よろしくお願い致します。
▼配送係の清洲(きよす)と喜多山(きたやま)、2月22日(水)の「お申し付けの品」のために段取り。
▼製菓係の金城(きんじょう)が卵の値上げに葛藤。松原は「レモンのブールドネージュ」を頼みました。
▼建築係の春里(はるさと)が「名古屋の本宅」のお庭を作り直す提案。塀を無くし、門から真っ直ぐに。
▼広報係の松原(まつばら)より、現在の「名古屋の本宅」の進み具合を報告します。1階と2階が山場。
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▼配送係の清洲(きよす)と喜多山(きたやま)、2月22日(水)の「お申し付けの品」のために段取り。
今から11日後、1週間半さきに、執事の館・準備委員会は「お申し付けの品」をご用意したく存じます。
昨年末、ほんとうに理由が分かりかねますが、相次いで使用人が体調不良となって、窮地にございました。
新たに加わった清洲(きよす)、喜多山(きたやま)。そして介添係の矢田(やだ)が尽力いたしました。
この過程でわたくし松原と、とくに調達係の守山(もりやま)が、配送係のお仕えを大幅に見直しまして、
迷いを減らし、むだを削り、失敗を防いで、そして気持ちよくできるようにしました。派手なことはせず、
僅かなロスを無くして、それを幾つも重ね、厚みを出しました。もちろん、長く掛かる覚悟でおりました。
松原「清洲さん、なにかお困りのことはございませんか。」
清洲「ないですね…今日にも職人さんに、次のお品の相談をします。」
松原「えっ、まだ10日ですよ?」
清洲「前倒しですね。」
「お申し付けの品」の段取り、職人さんへの打診、資材の準備などの流れは、過去に経験のあった松原が
手伝うことになっていたのですが、このところ質問のレベルが上がり、さらに回数も減っている次第です。
守山「喜多山さん、欲しい機材などありませんか。棚なども。」
喜多山「ありがとうございます!いまのところ大丈夫です!」
守山「いや他にないですか。照明とか増やせますよ。」
喜多山「思いついたら伝えますね!」
どうしても、目の前にあるタスクを優先し、環境を整えることを後回しにしがちですが、ここに手を入れ、
改善したことで効果が出ました。調達係としての守山の出番も、おそらく少なくなる見通しにございます。
グレーにダークレッド。執事の館・準備委員会が10年前から大切にしてきた色で構成した新たな配送室。
見た目だけでなく、お嬢様、旦那様に良いお仕えをする環境が整い、さらにお役に立てれば幸いであります。
今月の「お申し付けの品」も水曜日。2月22日の夜に、お嬢様、旦那様のご用命を賜るため段取りします。
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▼製菓係の金城(きんじょう)が卵の値上げに葛藤。松原は「レモンのブールドネージュ」を頼みました。
お嬢様、旦那様もご存知の通り、あらゆるお品の物価が高騰しております。いちど価格を改めたあと、更に、
別の素材、資材が値上がりをすることもあり、職人らは悩んでおります。まさに今日、製菓係におります、
金城(きんじょう)が卵の値上げ、およそ 1.3 倍の変化に葛藤して、お給金の変更を申し出た次第です。
執事の館・準備委員会は、その打診に快諾したいと存じますが、お嬢様、旦那様はどう思われますでしょう?
物価の変動は、職人の責任ではなく、それを飲み込み、利得を下げることはして欲しくない、と考えます。
また金城のほかの職人にも同様の可能性がございますから、値上げの必要あれば手を挙げるよう伝えます。
それと同時に、高騰する食材を避けて、新たな価値を作り出す努力もします。たとえば卵を用いない品に
「ブールドネージュ」がございます。松原は「レモンのブールドネージュ」を提案。試作してまいります。
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▼建築係の春里(はるさと)が「名古屋の本宅」のお庭を作り直す提案。塀を無くし、門から真っ直ぐに。
もとより、私たち執事の館・準備委員会は、お仕えの方針、内容などから、新たな職人が想像を膨らませ、
価値を高めていく傾向がございます。お嬢様、旦那様もご覧のとおり「名古屋の本宅」も、形になるにつれ、
多くの者が、さらなる案を出しております。そのうち1人は、建築係の春里(はるさと)からの提案です。
言葉にして、ご説明を差し上げますのは、極めて難しゅうございますが「名古屋の本宅」の正面にあった、
お庭を後退させ、正面に「車寄せ」を作るという内容。そして、現在は建物のドアから正門まで緩やかに
カーブをしている通路をなくし、まっすぐに通路を置きたいと申します。より美しく、豪華な印象でした。
これを実現するにあたっては、これまで造園係が取り組んだ部分の一部を無くす必要があります。そして
予算の面でも、スコーン1万個ぶんは必要と見られますので、慎重に検討して、結論を出したく存じます。
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▼広報係の松原(まつばら)より、現在の「名古屋の本宅」の進み具合を報告します。1階と2階が山場。
以前から「2階から白色はなくなる」と言われておりましたが、やはり現実になった景色に圧倒されます。
かつて「名古屋の仮住まい」のときも、去年の「名古屋の拠点」のときも、工事は徐々に進むのではなく、
ほぼ終盤に差し掛かったある日、一気に変化をして驚きました。名古屋の本宅も、その通りでありました。
このお便りの結びで、今後の見通しについて述べますが、まずは現時点の「名古屋の本宅」をご報告して、
把握をいただけますと幸いです。工事の順番どおり、上の階からさせていただきます。お願いいたします。
・3階/ホール…壁紙の施工が終わり、あとは照明を待っております。アジアの印象、と申す者もいます。
・3階/ペデスタル…水栓の設置は最後。予定していた仮住まいの照明が差し支えると判明。新たに調達。
・3階/緑の部屋…スイッチプレートの仕様変更のため、壁紙を補修。基本的には仕上がり、ベッド待ち。
・3階/南の部屋…笹島がカーテンの設置をテスト。このお部屋は塗装など終わり、作業場として活用中。
・3階/北の部屋…ここ数日、松原が作業をしている部屋。モールディングやクローゼットの下塗り塗装。
・2階から3階への階段…2階の床を研磨する工程を待っております。壁面に壁紙が入って、より重厚感。
・2階/ホール…初めに述べましたように、劇的な変化をいたしました。ぜひご覧いただきたく存じます。
・2階/赤の部屋…赤の装飾が入った壁紙、塗装も重厚。薪ストーブのお色目を見直すとしたら、次の冬。
・2階/キッチン…このお便りを執筆している最中、笹島が天板のフィルム貼りを完了。ベージュから黒。
・2階/洗面所…壁紙と塗装を終えて、洗面のボウルを外しました。後日、ここにもフィルムを施します。
・2階/お手洗い…この空間の壁紙に、驚かれる方が多くいらっしゃいます。ありそうでない、とのこと。
・1階から2階への階段…壁面のクロスが仕上がりつつある過程で、照明の見直し。ぎりぎり間に合うと。
・1階/ホール…塗装の職人さんが、なんと4回も白のペンキを重ねていらっしゃいます。白よりも白く。
・1階/白の部屋…腰から下の高さに施した、壁の装飾が白に染まり、いま窓際のベンチを塗っています。
・1階/青の部屋…戸棚や収納の扉が、ダークブルーに染まって素敵です。週明けに壁紙、床の仕上げを。
・1階/南の部屋…壁の塗装を終えて、きょう笹島がキッチン天板にフィルム。後日、天井を塗装します。
・1階/北の部屋…こちらも天井の塗装を予定。造園係の資材があり、いったん移動が必要かと存じます。
・玄関…ビュートのお色目で塗装されたドアが、とても綺麗でございます。内側は白の部屋と同じ白色に。
・お庭…先述のとおり、造園係が進めた部分を作り直す案が出ております。慎重に検討し、ご報告します。
・駐車場…職人さんの #愛知県豊田市のハイエース を置くため、作業を控えております。お庭も同様に。
・ビュート…お屋敷から少し離れたところで、お布団を掛けて眠っております。出番まで、あと少しです。
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もしお手数でなければ、この下に置きますURLで、ひとつ資料をご覧いただきたいと存じます。これは
建築係の監督(かんとく)が執事の館・準備委員会に提出致しました、現時点における最新の工程表です。
Twitter のリンクではございますが、アカウントをお持ちでなくてもご覧いただけます。お試しください。
▽これをもって、工事の完了と、お仕えの準備、リハーサルを計画。お仕えを再開します。
https://twitter.com/butlers_house/status/1624273397680324608
冒頭で述べました壁紙の工事、文中にて報告した塗装の経過、これらがちょうど、きょう土曜日の作業で、
来週の火曜日まで続く見通し。ポイントは2階の床をいったん研磨する工程、その間お仕えが止まります。
ご覧のとおり、3月のはじめにリフォームは完了します。そのあとお庭やカーテン、家具などのご用意を。
ここまで来て、やっと使用人の出番でございます。「名古屋の拠点」にあった家具、食器、機材など運び、
必要に応じて調達しながら、お嬢様、旦那様にお仕えする準備で3月末。そして、最低限の環境を整えたら、
お嬢様、旦那様にご相談をしていたリハーサルを4月に。お世話になった業者さん、職人さんなど迎えます。
長らく、お待たせ致しまして申し訳ございませんでした。お嬢様、旦那様、私たち執事の館・準備委員会は、
2023年の5月、お仕えを再開いたします。もちろん予期しない出来事もあろうかと存じますが、つど
お嬢様、旦那様にご報告することをお約束し、尽力をします。もう少しだけ、ご辛抱いただければ幸いです。
昨年の3月末に最後のティータイムをしてから、1年以上が過ぎます。当初、執事の館・準備委員会では、
もう少し早くに再開をお約束していて、幾つもの事情によって延期をしてまいりました。大らかな態度で
お許しくださるお嬢様、旦那様に感謝し、お好きなだけスコーンをお召し上がりいただきたい、と考えます。
3月初めの仕上がりは、あくまで内装で、長らく中断していたお庭はこれから。さらに大きく手入れする
構想もございます。「名古屋の本宅」は、絶えず修繕と調達を繰り返して、長くお使いいただく所存です。
しかし私たち使用人は、お嬢様、旦那様をお迎えできる目処が立ったことが、何よりも嬉しゅうございます。
ぐるり、春夏秋冬を回って、ふたたびお目にかかれます。お部屋が増えて、お仕えの幅も広がるでしょう。
驚きをもって喜ばれるためにしたことで、驚きをもって喜ばれたら幸いです。すこし外は暖かく感じます。
お嬢様、旦那様によい春の訪れがありますように、心から願っております。また改めて、ご報告いたします。
食器棚。大きな鏡。シャンデリア。テーブルとチェアに、クマさんのぬいぐるみ。#名古屋の執務室 にて。
執事の館・準備委員会
広報係/松原(まつばら)
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私たち執事の館・準備委員会は、おおむね水曜日と、土曜日の夜に、お便りをしてご報告を差し上げます。
こちらをご覧になってのご感想や、ご意見などは Twitter と、このメールへの返信にて承っております。
(ただ返信はお約束できかねますこと、お許しください。)
名古屋のどこかにお屋敷を構えて、お嬢様、旦那様にお仕えしたいと申し出てから10年が経過をしました。
これまでの流れは、過去のお便りにございますが、1,000 以上もございますので、何とぞお許しください。
https://www.butlers-house.net/blog/entries
もし「主の目録」を所有なさいますと、とくべつなお便りのほか、ご予告、お申し付けの先回りが可能に。
ご帰宅の際のカップセレクトも限りなくしていただけます。「金貨」もご活用いただけましたら幸いです。
https://www.butlers-house.net/product?product_id=3887